このページでは、Inkscapeを使って作成したドキュメントをSVG形式(正確にはInkscape用拡張SVG形式)以外の形式のファイルに保存する手順を紹介します。
- Contents
- 基本的な手順
- 名前を付けて保存
- コピーを保存
- エクスポート
- 保存によるデータ損失について
(参考:読み書き可能なファイル形式)
(参考:Aiファイルをインポートしてみた)
(2025.03.12更新)
基本的な手順
Inkscapeでは「Inkscape入門」にも書いたように通常は「Inkscape SVG」という形式のファイルを読み書きします。この形式は「Inkscape用拡張SVG形式」とでも呼ぶべき、標準規格のSVG形式に少しだけInkscape特有の情報を追加した形式のファイルになっています。
そして、出来上がったドキュメントをInkscape SVG以外の形式のファイルへ保存したい場合がありますが、そのためには、メニューでファイル > 名前を付けて保存、ファイル > コピーを保存、または、ファイル > エクスポートを操作します。
いずれのメニューを操作した場合も、それによって表示されるダイアログ上で保存先のファイルの形式を選択して保存を実行します。

名前を付けて保存
ファイル > 名前を付けて保存で保存を実行した場合は、保存前のファイルを開いている状態から、保存後のファイルを開いている状態に自動的に移ります。例えば、Inkscape SVG形式のファイルを開いて編集し、名前を付けて保存でPDFファイルとして保存すると、PDFファイルのほうを編集している状態になります。元のInkscape SVG形式のほうのファイルは最後に保存した時から加えた編集内容が反映されずに自動的に閉じられているので、どちらのファイルを編集している状態なのか、混乱しないように注意が必要だと思います。

コピーを保存
ファイル > コピーを保存で保存を実行した場合は、今まさに開いているファイルは開いたままで、編集中のデータをダイアログ上で指定した形式の別のファイルに保存(すなわち「コピー」)します。Inkscape SVG形式ファイルで編集と保存を繰り返しながら、ときどき別の形式のファイルに保存したいときは、こちらのメニューを使うほうがわかりやすいと思います。
エクスポート
ファイル > エクスポートで保存を実行した場合は、ドキュメント全体ではなく、エクスポートダイアログ上で指定した範囲だけを別の形式のファイルに保存することができます。(参考:エクスポート機能(一部分だけ保存))
保存によるデータ損失について
Inkscape SVG形式であれば、Inkscapeの編集機能に必要な独自の補助的な情報などもファイルに保存されていますが、それ以外の形式で保存した場合、サポートされていない情報は保存されないままになってしまって、後でファイルを開いて編集を続けようとしても元の通りの編集ができるとは限りません。
ただ、ドキュメントを閉じない限りは編集中のデータはInkscapeの内部にそのまま残っているようですし、Inkscapeのキャンバス上に描かれているものも見た目上特に変化しないので、いつでもInkscape SVG形式ファイルに保存し直すことで編集用の補助的な情報もすべて保存することができるようです。
そういうわけで、Inkscapeは「このままドキュメントを閉じた場合、ファイルに保存できていない情報が消えてしまうので、保存したファイルを開きなおしても同じように編集を続行することができません。Inkscape SVG形式のファイルに保存しておいたほうが良くないですか?」という警告を表示してくれます。
ファイル > 名前を付けて保存でInkscape SVG形式以外のファイルに保存した場合、ファイル保存後にドキュメントを閉じてしまうと編集中の情報の一部がメモリから破棄され、ファイルにも残っていないという状態になってしまうので、Inkscape終了時に(あるいはドキュメントを閉じる時に)次のような警告が表示されます。

例えば、Inkscape SVGファイルを開いて編集し、PDFファイルに名前を付けて保存した場合は、編集結果のすべての情報はPDFファイルに保存されていないので、このままInkscapeを終了すると、編集結果の情報の一部が消えてしまうかもしれないということを言っています。
この警告が出たときは、一旦Inkscapeの終了をキャンセルするか、この警告画面の右下の「Inkscape SVGとして保存」というボタンを押して、Inkscape SVG形式で名前を付けて保存してから終了すれば情報が消えずに済みます。