このページでは、オブジェクトのストロークとして描かれている部分(輪郭線に相当する部分)を、単独のパスオブジェクトに変換して取り出す方法を紹介します。
- Contents
- はじめに
- 変換対象のオブジェクトを描く
- ストロークをパスに変換
- どんなパスに変換されるか
(参考:文字(テキスト)をアウトラインに変換する)
(2023.12.10更新)
はじめに
オブジェクト(文字や図形)のストロークはシンプルな輪郭線の表現として使えるのはもちろんですが、それでは一定の幅で単一色の輪郭線しか描けないことになってしまいます。
ストロークのスタイルとしてグラデーションや点やパターン塗りつぶしのようなものも設定可能ですが、それらを使っても限られた種類の輪郭線しか描けず、もっとバリエーションに富んだ柄や形の線を文字/図形の輪郭として描きたくても制約が大きいです。
そこで、オブジェクトのストローク部分だけを単独のオブジェクト(パスオブジェクト)として取り出して編集できるようになれば、自由な形態の輪郭線を描くことが可能になるというわけです。

よく目にする例としては、テキストツールで入力した文字の輪郭だけをパスオブジェクトとして取り出して、そのパスをいろいろ編集することで格好いいロゴテキストにしたりする例です。(詳しくは「文字(テキスト)をアウトラインに変換する」)
そしてInkscapeには、任意のオブジェクトのストローク部分を見た目はそのままにパスオブジェクトに変換してくれる機能があるので、これを使えば任意のオブジェクトの輪郭にあたるストロークを描いたパスオブジェクトを簡単に手に入れることができます。
変換対象のオブジェクトを描く
例としてテキストオブジェクトを使って説明します。他のオブジェクトでも大まかな手順は一緒です。
まずテキストツールを使って普通のテキストを描きます。
そして、この文字の輪郭が目立つように、ストロークの色と幅を変えます。
さらに、ストロークのスタイルを変えて、点線にしてみます。
さらにさらに、ストロークにグラデーションを付けてみます。
(参考:オブジェクトのスタイルを設定する)
ここまでやっておいて、ストローク部分をパスオブジェクトとして取り出してみます。
ストロークをパスに変換
このテキストオブジェクトを選択しておいて、メニューでパス > ストロークをパスに変換を操作します。すると、レイヤーとオブジェクトダイアログに表示されている構成が変化して、元はテキストオブジェクトが1個あるだけだったところに、パスオブジェクトが2つ生成されて、それらが「pathXXX」とか「textXXX」という名前のオブジェクトグループになっていることが分かります。
この「text11422」とか「path17313」という階層は、それっぽい名前が自動的についているだけで、実体はオブジェクトグループです。
そして、最下層の2個のパスオブジェクト(path17320とpath17318)の一方がストローク部分をパスオブジェクト化したもので、もう一方がフィル部分をパスオブジェクト化したものです。試しに一方を選択して移動してみると、1つのテキストオブジェクトが次のように2つの独立したパスオブジェクトに変換されていることがわかります。
「ストローク部分だけパスに変換されればいいのだが(フィル部分のパスへの変換は不要)…」というときは、ストロークをパスに変換する操作を行う前に、次のボタンを押してフィルの塗りつぶしをやめる(塗りなしに設定する)と、フィル部分のパスは生成されず、ストローク部分だけがパス化されるようになります。

どんなパスに変換されるか
パス > ストロークをパスに変換メニューを操作後、ストローク部分をノードツールを使って選択すると、次のように変換後のパスのノードが表示されます(見やすいように一部分を拡大しています)。
このように、テキストのストローク部分から変換されたパスオブジェクトは、点線の個々の点ごとに全てパスオブジェクト化されていることがわかります。
あとは、このパスオブジェクトを思うままに編集すればよいというわけです。