お絵描きソフトInkscape(インクスケープ)の使い方を初級レベルから上級レベルまで広く紹介しています。
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Inkscapeを使った図形(シェイプ)の編集

 Inkscapeで入力できるシェイプの種類には、矩形円/弧星形(多角形)、3Dボックスらせん、があります。

 このページでは、この種類ごとに各シェイプの基本的な編集手順を紹介します。

 (参考:オブジェクトの選択操作

 (参考:オブジェクトの変形

 (参考:オブジェクトのスタイルを設定する

 (参考:クリッピングとマスキング

(2024.11.20更新)

そもそもシェイプとは?

 シェイプは、Inkscapeが独自に提供している基本的な図形です。図形の種類ごとにツールバー上にツールが用意されていて、描きたいシェイプのツールを選んでドラッグするだけで、サッと図形を描くことができます。

 もちろん、ペンツールを使ってパスを描けば、シェイプと見た目は同じ形の図形を描くことは可能ですが、繰り返し入力することの多そうな種類の図形だったりするので、簡単な操作で入力できると便利です。(でも3Dボックスやらせんを何度も入力するかと言われると・・・笑)

 なお、Inkscapeがメインのデータ形式にしているSVG形式の仕様でも基本図形と呼ばれるものがあって、その種類ごとにエレメント(<〇〇〇> </〇〇〇>)が定義されていますが、Inkscapeのシェイプの種類はSVGの基本図形の種類に対応していません。

 だからInkscape用拡張SVG形式のファイルで読み書きしている間はシェイプとして編集できる状態が続きますが、一旦標準仕様SVG形式のファイルに保存すると、読み込んだときにシェイプに戻らない(単なるパスの集合になってしまう)場合があります。

シェイプ編集の基本

 新しいシェイプをキャンバスに追加したときや、入力済みのシェイプを選択した状態でさらにノードツールを選択したときに、そのシェイプを変形するためのハンドル(○や◇)が表示されます。ハンドルの表示される場所や役割はシェイプの種類によって異なります。

 これらのハンドルをドラッグすると、シェイプの種類に特有の変形操作を行うことができます(例えば、円/弧ツールの場合、〇のノードをドラッグすると、閉じた円を切れ目のある弧に変形することができます)。

 以下、シェイプの種類ごとに基本的な変形手順をまとめていこうと思います。

矩形の変形

 矩形は、2個所の「□」ハンドルと、2箇所の「〇」ハンドル(新規入力直後は重なって1個に見える)が表示されます。

 「□」ハンドルをドラッグすると、矩形の拡大縮小ができます。

 「〇」ハンドルをドラッグすると、四つの角の丸みを調整することができます。

 矩形ツール選択時のツールコントロールバーにある「角をシャープに」ボタンを押す(またはシフトキーを押しながら「〇」ハンドルをクリックする)と、一旦丸めた角を丸まっていない角に戻すことができます。

円/弧の変形

 円/弧は、2個所の「□」ハンドルと、2箇所の「〇」ハンドル(新規入力直後は重なって1個に見える)が表示されます。

 「□」ハンドルをドラッグすると、円/弧の上下または左右の拡大縮小ができます。

 「〇」ハンドルをドラッグすると、弧の始点と終点を移動することができます。

 なお新規入力後の円の「〇」ハンドルをドラッグして弧に変えようとするとき、最初にドラッグされるのは必ず終点のハンドルになる(重なっている始点のハンドルはドラッグできない)ので、円の状態から初めてドラッグする際に時計回りにドラッグするか反時計回りにドラッグするかでどちら側の弧になるか(長いほうが弧になるか短いほうが弧になるか)が入れ替わります。

 「あれ、こっち側の弧を描きたかったのに反対側の弧になっちゃった」というときに弧を反転させたくなりますが、その機能は用意されていないようです。円を弧にするときは必ず時計回りにドラッグするようにするとか、反対側の弧になってしまったときは(シフトキーを押しながらハンドルをクリックするなどして)いったん円に戻してから逆向きにドラッグするしかなさそうです。

 また、ツールコントロールバーには始点と終点の位置(角度)を直接数値で指定できるフィールドがあるので、ここに右端を「0度」として時計回りの角度を指定すれば半円(180度)や3/4の弧(270度)も簡単に描けます。

 円/弧ツール選択時のツールコントロールバーにある円/弧の種類を指定するボタンを押すと、3種類の弧と、閉じた円とを切り替えることができます。


 「〇」のハンドルをドラッグすることで弧の始点と終点の位置を調整する際に、次のように円周の内側でドラッグすると、閉じていない弧に切り替えることができます。反対に円周の外側をドラッグすると閉じた弧になります。

星形/多角形の変形

 星形と多角形は同じ「星形/多角形ツール」を使って入力、編集します。

 星形と多角形のどちらにするかはツールコントロールバーのボタンで切り替えます。

 このボタンの横に「角」の数を指定する欄があり、星形または多角形の角の数を変更することができます。

 また、星形には2個所、多角形には1箇所の「□」ハンドルが表示されます。このハンドルをドラッグすると星形/多角形を拡大縮小したり回転したりすることができます。

 なお、Ctrlキーを押しながらドラッグすると、回転はせず、拡大縮小だけ実行されます。

 また、シフトキーを押しながらドラッグすると、角を丸めることができます。

 星形に限っては、外側にあるほうのハンドルで回転させたときは星形全体が回転しますが、内側にあるほうのハンドルで回転させたときは星形の角のうち、内側の角だけが回転します。

3Dボックス/らせん

 3Dボックス/らせんについては、なかなかおもしろいツールではあるのですが、それほど使う機会もなさそうなので、割愛します。

 3Dボックスについては、3Dボックスツールを使うよりも、パスを使って直接描く方がわかりやすいと思ったので、その描き方を別のページにまとめてみました。