このページでは、ツールで直接入力できない図形を入力するときの定番操作をいくつかピックアップします。これに関連して入力後に編集するときの定番操作は「定番操作:編集一般」のページで。
(参考:定番操作:編集一般)
(2025.03.05更新)
正方形/正円を描く
幅と高さが同じ矩形(正方形)や円(正円)を入力するには、ツールバーで矩形ツールや円ツールを選択して、Ctrl(コントロール)キーとAltキーを押しながらキャンバス上でドラッグします。
また、Ctrlキーだけを押しながらドラッグすると、1:2とか1:3とか2:3のような整数比、または、黄金比になる幅/高さで入力できます。
どちらの場合もドラッグ中はキャンバス下のステータスバーに「縦横比固定 2:3」のようなメッセージが表示されているので、今この瞬間にどんな縦横比の矩形/円を描いている状態なのかを確認することができます。
ちなみに、円に限っては、一旦楕円として入力したシェイプのハンドルをCtrlキーを押しながらクリックすると正円に変形してくれます。
直角三角形の入力
グリッドへのスナップを有効にし、グリッドを表示し、グリッドの交点にノードを配置するようにパスオブジェクトを描く方法と、矩形ツールで描いた矩形オブジェクトを選択して、パス > オブジェクトをパスへメニューを操作してパスオブジェクトに変換し、直角三角形に不要なノードを選択してdeleteキーを押して削除し、斜辺にしたいセグメントの上をAltキーを押しながらダブルクリックする方法があります。
グリッドへのスナップについては、スナップ機能(ドラッグ時の位置合わせ)を。
点の入力
Inkscapeでは簡単な操作で点(小さな円)を描くことができます。
ペンツールまたは鉛筆ツールを選んでおいて、「Ctrl+左クリック」を行うとクリックした位置に点(小さな円)が追加されます。ただし、ペンツールの場合はツールコントロールバーの上で連続する直線セグメントを作成モードまたは連続する近軸線を作成モードをあらかじめ選んでおく必要があります。

入力される点の大きさは、ペンツールや鉛筆ツールの新規オブジェクトのスタイルの中のストロークの幅に、環境設定のツール > ペンツール > Ctrl+クリックでのドットサイズのところで設定した倍率を掛けた大きさ(直径)になります。

入力された点はSVG形式データの中では小さい円(<circle>要素)として表されます。
ちょっと変わった機能としては「Ctrl+Shift+左クリック」で2倍の大きさの点になり、「Ctrl+Alt+左クリック」でランダムな大きさの点になります。
点々の入力
丸くて小さい点を並べた点線の描き方です。Inkscape Forumで紹介されているのを見つけたのですが、とても上手いアイデアで、よく使いそうな方法なのでここにもメモしておきたいと思います。

Inkscapeでオリジナルの点線を描くには、フィル/ストロークダイアログのストロークのスタイルタブの中にあるパターンという欄に点線の区切り方を記述します。(参考:オブジェクトのスタイルを設定する)

これでは普通の点線ですが、さらにストロークの端を「丸」に設定すると、次のように点線の中の各点ごとに端が丸くなります。端の丸くなったところがわかりやすいように色を付けてみました。

1個の点(小さい矩形)の角が円弧に置き換わっているのではなく、矩形の両端に円弧(半円)を付け加えることで丸い端を描いていることが分かります。
この描き方を利用して、小さい丸が並んだ点々を描きます。点線のパターンに「0」を記述すると、長さゼロの点(矩形)が描かれることになりますが、端を「丸」にしているのでうまいぐあいに2つの半円が直接くっつきあって小さい円になるので、結果的に点々を描いたことになります。

年輪状の図形の入力
同心円やバウムクーヘンのような年輪状の図形を入力するには、タイルクローン機能を使って、自動的にサイズ変更を繰り返させる方法がネット上ではよく紹介されているようですが、タイルクローンのパラメータの設定が複雑で、思ったような絵を描ける自信がない(涙)ので、手作業で面倒ですが単純な操作を繰り返せば何とかなるという意味で、オフセット機能(インセット、アウトセット、ダイナミックオフセット、リンクオフセットの4種類)を使って、選択した図形の所定オフセット分だけ内側(または外側)に沿うように変形する方法が簡単でいいかな、と思います。
全ての図形を選択した状態で、整列と配置ダイアログを表示して、垂直軸と水平軸のそれぞれを中心にして揃える操作を行えば、つぎのように年輪状になります。
また、リンクオフセット機能を使うと、オフセット設定用のハンドルが表示され、それをドラッグすることで、好きなオフセットを設定することができ、あとはそれを繰り返すだけです。リンクオフセット機能では図形の複製も同時に行われるので、インセット機能を使うよりも操作ステップは少な目になりそうです。
じゃあどちらの方法が良いのかというと、どうやら内側に縮めるときに従うルールが2つの方法で異なるようで、結果は少しだけ違う年輪状になるので、どちらが良いか決めようがないです。試してみて、どちらが目的に合っているか確認するしかなさそうです。そのうち、もう少し具体的にまとめられたらいいと思います。
升目の入力
縦横の線で区切られた升目を描くには、升目状のグリッドを表示してそれにスナップさせながら直線を描く方法や、1つのマスに当たる長方形を描いてそれをタイルクローンにして並べる方法(線が重なったり、端の線が描きにくい?)や、パスエフェクトという一種のマクロを使って(グリッドの構築やサブパスの補間というエフェクトが使えそう)描く方法(エフェクトの仕様は今ひとつ明確でない?)がすぐ思いつきますが、もっと単純に、縦と横の線を必要な数だけコピーして、整列と配置ダイアログからきれいに揃える方法でもいいかなと思います。その方法なら線の間隔も自由に変えることができますし。
まず、縦の線と横の線を1本ずつ描きます。ペンツールを選んで、コントロール(Ctrl)キーを押しながらドラッグすれば、垂直線も水平線も簡単に引けます。
次に、一方の線をドラッグしながら、だいたいこの辺と思うあたりでスペースキーを押します。そうすると、その場所にコピーされた線が追加されていくので、線の本数分だけドラッグとスペースキー押下を繰り返します。もう一方の線についても同じです。

升目の上下左右の端の線を動かして、目的の升目全体の大きさにします。わかりやすく、赤で塗ってみました。

一方(例えば横)の線を全部ロックしておいて、他方(例えば縦)の線を全部選択して、整列と配置ダイアログのボタンを押して等間隔に配置します。等間隔に配置するボタンを押すと、水平方向について、左端と右端のオブジェクトは動かさずに他のオブジェクトが等間隔になるように自動配置されます。
あとは揃っていない縦線だけ選択して整列と配置ダイアログの下端で揃えるボタンを押し、全体の高さを調節して、両端の縦線と両端以外の縦線が揃うようにします。
横線についても同じようにすれば、目的の数と大きさの升目が出来上がります。
星形や多角形を水平に描く
星形ツールを選択して、キャンバス上でドラッグすると、星形や多角形(どちらにするかはツールコントロールバーで切り替える)を入力することができるわけですが、水平になるように入力するのが難しい(というかほぼ無理)と思うのです。例えば星形の場合は、ちょうど左右対称になる角度になるように入力したいのですが、単純にドラッグするだけではどうやっても少し傾きます。
そんなときは、Ctrlキーを押しながらドラッグします。そうするとキャンバスに対して垂直、水平またはその間の15°間隔の方向のうちドラッグの向きに一番近い方向になるように星形/多角形が入力されるのでこれを利用します。例えば5角形を水平に入力したいときは、ドラッグを開始したあと、ほぼ真上に向かうようにドラッグしていくとマウスの動きが多少左右にブレたとしても水平な5角形を描くことができます。

同じように水平方向にドラッグすればぴったり横向きの星形/多角形を入力することができます。
ただしこれは新規入力のときだけ通用する方法なので、すでに入力済の星形/多角形シェイプを後から水平にしたいときは「図形を回転させて水平にする」に書いた方法を使います。
いろんな図形を混ぜてランダムに配置する
スプレーツールを使うと、選択したオブジェクトのコピーをマウスをドラッグした位置にランダムに配置してくれますが、複数のオブジェクトを同時に選択しておいてマウスをドラッグすると、複数のオブジェクトのどれを配置するかもランダムに切り換えてくれるので、いろんな図形を混ぜてランダムに配置したような絵を描くことができます。