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Inkscapeを使って算数でよく使う図を描く

 このページでは、Inkscapeを使って算数のテキストや試験問題などに使いそうな図を描く方法について考えてみました。

 

(2024.07.26更新)

 といっても特殊な機能(パスエフェクトやエクステンションなど)が用意されているわけではなく、基本的な編集操作を組み合わせているだけです。

 主に次の基本操作を組み合わせていきます。

内接する円

 多角形に内接する円を描く手順は、基本的に三角形に内接する円を描く手順と同じです。

平面図(寸法、角度)

 反転して合体した三角形に寸法と角度の記号を加えた図を描いてみます。

 まず三角形を複製してオブジェクトをガイドにでガイドラインに変換します。

 もう1回複製して左右反転します。

 そして2つの三角形の角同士をスナップさせ、かつ、一方の回転中心もその角にスナップさせます。

 そして回転して隣の頂点も一致させます。これで2つの三角形を反転させて互いにくっつけた構造になります。

 ところでこの方法で2つの三角形をくっつけても重なっている頂点のところはよく見ると次のようにはみ出してしまいます。

 この角の部分をきれいにするには「角同士をきれいに重ねる」のほうで書いたような方法も使えますが、ここでは次のような方法でやってみました。

 全体を選択してシェイプビルダツールを使って合体し、外枠だけのパスを作ります。そして後から内側の線を書き足して、元の図と同じ構造にします。

 こうすると角のところはきれいに尖った形になります。

 次に角度の記号を描きます。小さい円を描いて三角形の角に円の回転中心をスナップさせます。そして円/弧ツールを使ってその円を弧に書き換えて角度記号のようにします。

 さらにこの角を始点とする太目のパスを描きます。そしてそのパスをストロークをパスに変換で細長い四角形のパスに変換し、さらにそのパスの不要な部分を削除して等角度を示す記号にします。

 次は寸法です。三角形を複製してそれを水平にします(参考:図形を回転させて水平にする)。水平にした辺と同じ幅の矩形を追加し、さらにその矩形の四隅をカーブさせてから編集(不要な部分を削除)します。ついでに「10cm」のようなラベルもテキストオブジェクトで追加します。

 そしてこの寸法表記を最初の三角形の辺に合わせて回転します。2つの三角形の辺を合わせるときと同じ要領です。

 これらを全部まとめて行えば次のような平面図になります。

ベン図

 次はいわゆるベン図というやつです。楕円を互いに重ねるように描いて、区切られた領域に色を付ければいいだけです。

 一番簡単なのはバケツツールを使って閉じた領域をぴったり埋めるパスを生成していくという方法ですが、生成されるパスは境界線に完全にピッタリ沿うものになりにくいので、ここではシェイプビルダツールを使って閉じた領域を囲うパスに変換していく方法をやってみました。

 ベン図の枠全体を複製し、シェイプビルダツールをクリックすると次のように切り取る領域を選択する画面になるので、1つクリックします。

 すると、その閉じた領域だけを囲うパスに変換されます。

 これを繰り返して、閉じた領域それぞれを囲うパスを作ります。必要に応じてフィルに色を付けたりします。

 そしてこのパス群の角同士をスナップさせて元の状態にくっつければ出来上がりです。


水の入った円筒

 楕円を描き、複製します。複製したものをCtrlキーを押しながら下のほうにドラッグすると、まっすぐ下に移動することができます。2つ複製しますが、真ん中の1つは「水面」に使います。

 ノード同士がスナップするように設定しておいてから2つの楕円の左端同士(右端同士)をパスでつなぎ合わせれば次のように筒の枠を描くことができます。

 「底」にあたる楕円を1回複製して2つにします。円/弧ツールで楕円を選択すると弧の角度を指定する欄がツールコントロールバーに現れるので、複製した2つの楕円の一方に始点0度終点180度を指定し、もう一方の楕円に始点180度終点360度を指定することで上下2本の弧(上半分の弧と下半分の弧)にします。

 そしてその一方(上半分の弧)を点線にします。これが「底」になります。

 「水面」を含めて筒の図全体を複製してからシェイプビルダツールを選択して「水」に相当するところを合体します。さらにその「水」の部分のストロークを塗りなしにし、フィルを水っぽく見えるように適当に塗りつぶします。この例ではグラデーションで塗りつぶしてみました。

 あとはぴったりと重ね合わせます。

関数のグラフ

 これについては「関数のグラフを描く」に詳しくまとめました。